男性育休について
令和3年6月に育児・介護休業法が改正され、確実に男性育休が取りやすくなってきた日本社会。
「とってみたいけど、実際どうなんだろう?」と気になっているパパ・ママさんも多いのではないでしょうか?
今回、3か月間の育休を取得したりすみさん夫婦にインタビューしてみました(*^▽^*)
妻目線・夫目線での男性育休についての経験談をまとめています。
10歳長女・8歳長男・4歳次女を育てる
パパ(たつおさん)とママ(りすみさん)
1・2人目の時は1週間程度の育休取得
3人目の時には3か月間の育休を取得しました!
実際に男性育休を取得してみて感じたことを夫婦で語ります。
なぜ育休を取ることになったのか
2人目までは産後1か月は自分の実家に里帰りをして、2か月目からは家に戻り1人で頑張っていたのですが、あまりの育児の大変さに疲れ切っていました。
当時は勢いで無我夢中で子育てをしていて気がつかなかったのですが、今になって思い返すと完全に病んでいたと思います。
夫は仕事が激務だったこともあり、こちらのSOSサインにも気づいてもらえませんでした。
幸いなことに土日は家族サービスを良くしてくれていたので、何とか気持ちを崩さずに保つことができていたのだと思います。
それでも時には息が詰まりすぎて、泣きながら訴えたことが何度かありました。
しかしながら、今さら夫の仕事の環境を変えることはできないし、どうしようもない現実を突きつけられ、本当に子育ての辛さ、孤独さを実感していた時期でした。
もともと、子どもは3人欲しいと思っていた私たち夫婦。
しかし、これまで以上に夫のサポートがないと3人目を産むのは厳しいと感じていました。
環境を変えない限り、いつも帰りが遅い夫には期待できません。
どうしたらもっと育児に関われるのか、何度も話し合いを重ねました。
私から求めた条件です
- 赤ちゃんの生活リズムが安定するまでは育児のサポートが欲しいこと。
- 自分の産後の身体の快復を優先させたいこと。
- 上の子たちのお世話を全面的にしてもらいたいこと。
これらを叶えるためには、最低3か月間の育休取得が必要と感じ、それに向けて行動を起こすことになりました。
これ以上1人で頑張ると精神が崩壊してしまう…と思っていたので、夫が育休を取得しようと決めた時は本当に嬉しかったです。
育休中の日々はどうだったか
妻目線の感想
夫が上の子たちのお世話を全面的にしてくれたおかげで新生児のお世話に専念できたので、心穏やかに子育てができました。
3人目は産後の身体の快復が思っていたより遅く、ホルモンバランスが乱れてしんどい日が多かったので、夫がいなければどうなっていたか想像するのも怖いくらいです。
育休中は夫にとことん甘えて家事育児を全てやってもらっていました。
その時は本人のやり方にすべて任せるようにしていました。
見るとつい口出ししたくなるので、できるだけ見ないように(笑)
全て一人でやって貰う事で、本当の意味で家事育児の大変さを理解してもらえた気がします。
日に日に上達して、今では完璧に家事育児をこなすことができています。
夫目線の感想
一言で言えば、育休を取って本当に良かったです!!
- 家事、育児は夫婦が協力して行うべきタスクである
- 主婦に休みなし。土日は働く父のためだけの休日ではない
- 専業主婦(ワンオペ主婦)は孤独である
- 仲間がいることの安心感は絶大!
「子どもと日常を過ごす」ということの、大変さを3人目にして初めて実感しました。
3人目が生まれた時は、父になって5年半。
2人目までも仕事が休みの日には、父親として子どもたちと接する時間を大切にしてきたので、十分に役目を果たしてきたつもりでいました。
でも、育休を取り主体的に家事・育児に専念する生活を始めてみて、数日で自分の考えが”甘かった”ことを痛感させられました。
ワンオペ育児が大変なことはわかっているつもりでしたが、子どもにしっかりと向き合いながら毎日一緒に生活をし面倒をみることが、どれだけ大変なことか、身を持って体験することで初めて気付きました。
こんなに大変だったのか…
主婦には休みはないとはいえ、
- 働いているわけじゃないんだから、時間の割り振りなんて自由じゃないか?
- 夫は外で働いているのだから、休みの日くらい家でゆっくりしてもいいじゃないか?
- 最低限の家事さえ済ませば、テレビ見たり、昼寝したり自由にできるんじゃないか?
- 家事も育児も協力しているのだから、妻一人の時より楽になっているはずじゃないか?
なんてことを考えていましたが、これは間違いだったことに気づきました。
3人目で育休を取得し、家事・育児に専念するまで気付けなかったので、それまで妻には大変な思いをさせてしまったという反省はありますが、一生気づかないままにならなくてホッとしています。
何も気づかないまま子どもたちの手が離れていたら、最愛の妻に相手にしてもらいたいときに相手してもらえない将来が待っていたと思います。
熟年離婚なんて哀しすぎるぜ。
3人目の末っ子はもうすぐ5歳になりますが、生まれた時からしっかりとお世話してきたので、赤ちゃんの時から今までの記憶がハッキリと残っています。
そして、父親との信頼関係も上の子2人よりも強い気がします。
また、意外な事かもしれませんが、仕事に対するモチベーションが上がるきっかけになりました。
育休を取るまでは、男は定年を迎えるまで働き続けるものと考えていました。
約40年間、盆・正月・GWなどはありますが、それ以上のまとまった休みは取れません。
定年まで一息つけないのか。
長いなーと思って、仕事に対するモチベーションが下がりつつあったんですね。
同じ組織の中で休みたいけど休めない中、この生活をまだ20年近く続けていかなければならないことへの疲労感が、かなりたまっていました。
そんな中、キャリアのちょうど折り返し地点で、3か月の育休期間によって仕事から完全に離れることができた結果、仕事で蓄積された疲労は一掃されました。
そして、育児という別の形の疲労感を体験したことによって、仕事の疲労など、大したことないと思えるようになりました。
少なくとも、仕事上では大人を相手にするので意見が対立したところで、なんらかの解決に向かうことができます。
「ちょっと待って下さい。」とか「検討して回答します。」とかが通用したり「それは違うんじゃないですか。」とか反論したりできます。
育児じゃこうはいかないよ
育児をするということは四六時中子どもたちと向き合うということ。
その中では、テレビを見る・本を読む・トイレに行く、そんな些細なことさえ思い通りに達成できないことに初めて気づきました。
会社で仕事をしている時はタスクをこなしていくことで、成功体験を積み重ねることができます。
そのことが、どれほど楽で幸せなことか、と考えられるようになりました。
男性育休で感じたメリット・デメリット
妻目線
- 大人が2人いると本当に余裕が違う
- 上の子のお世話をしてもらえることで圧倒的に負担が軽減
- 育児の悩みを一緒に共感できる
- 育児と家事の両立の大変さを理解してもらえる
- 育休明けも積極的に家事育児に向き合ってもらえる
・夫が育休を取得しても本気で家事育児に向き合わなければ、結局妻が主になってしまい、育休の意味がなくなるどころか、夫婦間の信頼関係が揺らぐ。
旦那が遊ぶための育休期間じゃないんだけど…ってなるよね(笑)
夫目線
- 家事育児の大変さを身をもって体感することにより、育児に対する認識がかなり深まる。
- 何気なくやり過ごしていた妻のストレスポイントを理解できるようになる。
- 妻や子どもに対する愛情、理解が深まる。
- 日々の家事に対する姿勢が変わる。
- 夫婦相互の理解も深まり夫婦関係がさらに良くなる。
- 育休を取得するまでは気づかなかった子どもの成長の過程を実感できる。
・「休んでいる」ことから感じる職場の仲間に対するうしろめたさを感じる。
全く悪いことはしてないんだけどね…
会社関係あれこれ
育休を申請した時の職場の雰囲気
「子どもができたら育休取得予定です。」ということを事前に上司、同僚に伝えていたので快く受け入れてもらえました。
自分が休むことにより、仕事のしわ寄せが仲間の仕事にあまり影響しない部署にいたので、それも良かったと思います。
営業職の男性などは長期の育休取得は難しいと聞くので、業務内容によって風当たりも変わってくるのかもしれません。
復職後大変だったことはある?
復帰してすぐは、仕事モードに入るのに少しだけ苦労しましたが、仕事をできる喜びも感じていたので、特に大変と思うことはありませんでした。
最後に これからパパ・ママになる方へ
産後は想像以上に身体がボロボロです。
その上に慢性的な寝不足という過酷な状況で育児家事をしなければならないので、心も身体も疲れ果ててしまいます。
夫の育休取得により、家事育児の両立の大変さを理解してもらえたこと、しんどい気持ちに寄り添ってもらえたこと、些細なことでも共感しあえること、などたくさんのメリットがありました。
夫には感謝の気持ちでいっぱいです。
その後の夫婦関係に大きく影響したと言っても過言ではありません。
産後の恨みは一生といいますが、本当にそうです(笑)
産後に言われて傷ついた、腹が立ったことは些細なことでも覚えています。
そうならないためにも、育児の大変さを理解し、これから父親になる方には特に共感してもらいたいと思います。
産後の身体を快復させられたことも大きいですが、仲間がいるという精神的な支えが本当に大きかったと私は思います。
なので、精神的に寄り添うことはもちろんですが、お手伝いをする、サポートするという気持ちで育休を取得するのではなく、「全て自分が家事をする!」くらいの気持ちで望んで欲しいと思います。
父親として、上の子2人にも深い愛情を持って接してきましたが、2人の本当に小さかった頃の記憶は末っ子のものと比べるとぼんやりとしています。
上の子たちに対しても、もっともっと育児にしっかりと関わってくればよかったと少し後悔しています。
私が育休を取得してから、もう5年の月日が流れました。
この5年という短い間にも、社会の男性育休に対する認知度や理解は格段に向上したと思います。
そんな中、これからの育休取得に悩んでいるパパがおられるのであれば、第1子からでも迷わず育休を取って育児に積極的に参加することをおススメします。
そうすることで、ご自身の家族にとって明るい未来をむかえられる可能性が絶対に高まりますから!!
りすみさん・たつおさん
ありがとうございました!
政府は「2025年までに男性の育休取得率を30%にする」という目標を掲げています。
2021年の男性育休取得率は14%
今後、どんな職場や業種の方でも育休を取りやすい環境になっていって欲しいと思います。
特に営業職の男性は「出世に響くから…」とまだまだ取りにくい雰囲気のようなので。
男性が育休を取りやすい・長期の取得をしても不当な扱いを受けない社会にしていきたいですね!
「産後パパ育休」給付率引き上げ
2023年に政府が新たな子育て支援策を発表しています。
男性の育児休業取得を促すため、子どもが生まれてから8週の間に、男性が最大4週間取得できる『産後パパ育休』の給付率引き上げるそうです。
制度を利用した人には給付金が支給されますが、政府はこれを80%程度に引き上げることで、実質的に休む前と同じ額=手取り収入の100%を確保できるようにするそうです。(女性についても同様の対応)